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第二回「ERPとは何か」
[ 更新日 ] 04月02日 14時09分[ 更新者 ] コンサルタント 松木 剛

ERPは「Enterprise Resource Planning」の略ですが、生産管理の考え方が発展したものです。およそ企業が企業活動に必要な資源を統合的に管理できるような仕組みを実現する考え方なのですが、そのコンセプトに従って基幹系といわれる情報システムを統合パッケージ化したものがERPパッケージです。いわば会社の情報システムを全部まとめて提供しますよ、といってる訳です。

【ERPの本質】

ERPについて説明しているものはたくさんありますので、理解して頂くためのお話をまず僣越ながら私の経験談から。
まだERPという用語が一般的でなかった頃、私はまだ課長さんになる前でしたが、ある役員に呼ばれてこう言われました。
「いろんな経営情報が上がってくるが、そこかしこで担当者の見解が入ってしまうし、スピードが遅いんだな、これが。実際に集まった情報は現場の実情と乖離してしまう。なんとかできないかな。」
これがERPのポイントのひとつです。

更に古くなった情報システムの見直しをしていたときに、共通的に使われる発注情報の更改を検討しましたが、あきらめてしまいました。その理由は、「すべての情報に関連していて、影響が大きすぎる。またすべてが分かっている人は誰もいないんだよ。」と言われたことです。
これがふたつめのポイントです。

整理すると、現場で一度入力された情報は、二度と入力されずにすべての情報に繋がって経営情報になる、の一言に集約されるのがERPです。
まず第一のポイント。企業が基幹系といっている情報システムは末端の情報から経営層伝わるまでいろいろなルートを流れますが、これがストレートに伝わるのがERPです。これまでの個別に作られてつながっている経営情報では、キレギレの情報システムで経営情報が形作られているため、いろいろな担当者が情報に介在します。裁量が入れば担当者は「保険」をかけます。身に覚えはありませんか? そうすると、保険がかかった情報は実情と乖離したものになり、知らず知らずのうちにその害毒に担当者も経営者も慣らされてしまいます。たとえば、受注の確度が甘くなっていたり、売掛金の入金予定が適当であったり。

ふたつのポイントは、ワンファクト、ワンデータと呼ばれるものです。例えば営業現場で入力された情報はデータベースに収納されると、関係する受注実績や予想、売上のデータとして更新され、売掛金や生産のための資材の発注データとなったりします。また生産現場で入力された情報は、納期の情報になったり、会計の情報になったりします。人事でいえば、勤怠のデータが人件費として照会ができたり、本日の原価としてすぐに計算されるといったような事です。つまり、同じ情報が二重にインプットされることはないし、その情報はつながっていて、必要としているシステムに自動的に反映されることです。二重登録で情報がどこかが滞ることもないし、登録のし直しで起こる入力間違いも少なくなります。

「経営に関わるすべての活動で発生するデータが一元管理されて、投入も活用も統合化された環境で行える」パッケージがERPと言えるのですが、実はこのシステムを利用するには、経営者にも「覚悟」が必要なのです。つまり、これまでさまざまなスタッフが関わってきた経営情報の作成が、システム的に現実をしっかり捉え、経営層にダイレクトに伝わるということは、経営者が戦いの現場を直接みることができ、また直接指示が出せるということなのです。従って、これまで「ご注進」とか「外の様子はこうこうです」みたいな情報しか上がってこなかった環境がガラリと一変することで、それなりにスピーディにまた正確に方向性や戦略が出せないと、危なくて仕方がない会社になってしまうということです。

人事システムがERPである必要性や必然性については、データの連携というテクニカルな問題もそうですが、経営者と人事マネジメントのあり方という課題も存在していると思われます。

【ERPパッケージ】

現在、人事のERP系のパッケージといえば、外国製の3つが有名です。いわずと知れた、SAP、オラクル、ピープルソフトです。海の向こうではこの3つのソフトウェアが人事も席捲しているのではないかと想像を逞しくしてしまいそうですが、実は米国あたりでもいわゆるローカルな人事給与システムが数多く出回っていてそれなりに売れているようです。でも事例なんか見ると、有名大企業が名を連ねていますよね。

日本でも90年代の中頃から少しずつ導入企業が増えているようです。本格化したのはここ6~7年ですが、大きな課題があるのです。日本化という課題です。
日本の人事業務は外国の人事とどう違うのか。外国生まれのERPパッケージはまだこのあたりの課題の解消を、日本のユーザつまり人事部から及第点を与えられているとは言い難いのです。パッケージに不足している機能を、例外なくアドオンというやり方で追加開発しているのが現状です。いかにアドオン開発を少なくするか、システムに業務を合わせる業務改革が必須だ、といってもそんな話のわかる人事部は少ないのです。

最近、パッケージベンダーもテンプレートや導入手法を工夫して及第点をとるべく努力していますが、なにせERPパッケージの守備範囲は広く、また製品はグローバル標準を標榜していますから、日本だけ突出して開発しまくるわけにはいかないようです。また導入に関わる方々の費用も安くないため、ここを突いて大企業に国産パッケージで食い込むベンダーも現れました。ERPは良いけど、高いし日本の人事業務をカバーしていない、というポイントを強調したパッケージです。

執筆者情報

松木 剛
松木 剛
コンサルタント
人事とITのプロフェッショナル
 
略歴

1979年 慶応義塾大学法学部政治学科卒 大手機械メーカーの人事部、情報システム部、経営企画室のマネジャーなど、勤務20年を経て日本オラクルでERPコンサルタントを5年担当。その後ベリングポイント、NTTデータ経営研究所のコンサルタントや、タタコンサルタンシーサービシズジャパンの人事総務部長を経て現職。

資格・講師
  • 情報処理技術者システムアナリスト ITコーディネータ 早稲田大学 大学院会計研究科 非常勤講師(2009年度~)『人的資源管理』担当
実績
  • ERP人事モジュルー導入プロジェクト(オラクルEBS、SAP等)多数 霞が関業務・システムの最適化計画コンサルティング 公的企業人事情報システムコンサルティング 大手企業企業合併に先行する持株会社化プロジェクト 企業防災計画/BCPコンサルティング 業務効率化/BPO化コンサルティング 人事情報システム導入コンサルティング