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第三回「経営情報と人事システム」
[ 更新日 ] 04月03日 14時11分[ 更新者 ] コンサルタント 松木 剛

ERPは経営手法のひとつです。またERPパッケージはその経営手法を実現するための手段です。また人事業務といえども経営活動のひとつです。「人」は最大の経営資源だともいいます。どうして「人事はERPに必須ではない」となってしまうのでしょう。

【人事情報の所有者と利用者】

人事情報が「給与」の情報であるうちはともかく、経営の三大要素のひとつでである「ヒト」の情報が、情報システムの進化によって、紙で管理される呪縛から解き放たれたとき、課題が明らかになってきました。情報の収集やプライバシ情報を含んだ情報のセキュリティを人事部に責任をもってマネジメントしてもらうのは妥当しても、その活用についてはもっと開放されるべきではないか。
「ヒト・モノ・カネ」にまつわる情報は、そのリソースとしての活用とともに現場にあるというのが私の持論です。簡単にいえば、経営活動を行っているのは現場であり、経営活動に必要なリソース(資源)の情報は、もっと現場で活用されるべきです。実はERPのコンセプトに、一元化された情報をあらゆる経営活動のシーンで活用することが含まれています。またこの三大要素はそれぞれ密接に関係しているので「ヒト×カネ」や「モノ×カネ」など情報が重なり合うと、
想像以上に役にたつことは、企業経験を積まれた方にはよくお分かりのことだと思います。

【システムが変えた環境】

急に話は変わりますが、みなさんの職場(執務)の風景について、10年前ほどの状況を思い出して下さい。まあソロバンを使っていたのは20年くらい前に遡ることになりますが、電卓で計算をしている人は少なくなかったのではないですか。パソコンは課に1台か2台。それも専用のコーナーがあって、課長が「○○君、これをワープロでお願い」なんていう声が行き交っていました。
それから10年たって現在。どの机の上にもパソコンが乗っていて、電話でお話している人も少なくなりました。メールもなくてはならない存在になりました。
例えばインターネットの衝撃というのを、当時から正しく認識していた人は少ないと思います。仕事のやり方も変えたのと同時に、情報の使い方や可能性を飛躍的に変えてしまいました。本論のテーマである人事情報も、人事部の厳重なロッカーから飛び出して、目の前にあるパソコンで照会できるようになってきています。より経営活動で活用できる環境が揃ってきているのです。

【経営活動と人事情報システム】

最近、成果主義に関する議論とともに人事部でテーマになっているものに、目標管理制度があります。目標管理では目標とする指標や数値化などが話題になりますが、経営管理でもBSC(バランストスコアカード)という手法が話題になっています。人事マンが気にするのは、個々人が立てる目標管理の目標と経営の方針が同期がとれているのか、整合性があるのかという点です。
残念ながらこの目標管理とBSCを実践的にどう取り扱うかで明快な解答を示したものはまだ見当たりませんが(もしご存じでしたらご教示下さい)、確かに非常に気になるポイントです。全員が目標を達成してボーナスをたくさんもらっても、会社は赤字だったりしたら、人事部長の責任問題です。BSCについてはいろいろなところで解説をしていますのでここでは多くは触れませんが、人事の目標管理とリンクすることは可能であると考えてます。(※)
BSCの考え方には、4つの視点が有名ですが、実務的には戦略の策定から戦略マップを作ることが重要なポイントです。簡単にいえば、戦略マップを現実的かつ具体的な業務に落として、末端の社員の仕事まで経営目標にリンクさせれば目標管理と一体化することができると思うのです。そして、目標管理と業務改革や評価、育成などの人事マネジメントは一体化しているので、日常の仕事の目安が人事管理そのものに変わっていくと思われます。
私の持論ですが、人事情報システムには目標管理の一機能として、日常的な部下の管理や育成の機能が必要だと思っています。それはとりもなおさず、経営活動そのものであるからです。。

【人事部外のユーザがキーポイント】

人事情報システムのユーザは「人事部」だけであると誤解されている方が多いと思います。人事部が主なユーザであることは事実ですが、人事部以外のユーザをどう考えるかが今後の人事情報システムのキーポイントです。人事部以外のユーザとは一体誰か? 経営者を含めて企業の経営活動に参加している人すべてです。
もちろん企業活動に関係の薄い個人情報やプライバシに関係する部分は論外ですが、社員を企業のリソース(資源)と考えても、あるいは資産と考えてもその情報を活用することが、企業活動の要になってきています。
最近の人事情報システムのパッケージには、Webで、つまりインターネットと同じ環境のブラウザで住所や結婚届けなどが申請できる機能をつけています。
これは従来の紙で行っていた情報の収集をシステムで行うことに過ぎません。これはこれでそれなりの効果はありますが、最終的には情報活用問題に行き着きます。情報は使ってナンボです。貯めるばかりでは意味はありません。間接員の削減やコスト削減も大事ですが、稼ぐ力にはなりません。ジャンプするために縮んだ力は、次には大きく飛躍する必要があります。そのキーポイントは残念ながら人事部ではなく現場にあるように私には思えるのです。
だから、「人事はERPに必須ではない」と判断している方には、もう一度再考していただきたいと思います。

執筆者情報

松木 剛
松木 剛
コンサルタント
人事とITのプロフェッショナル
 
略歴

1979年 慶応義塾大学法学部政治学科卒 大手機械メーカーの人事部、情報システム部、経営企画室のマネジャーなど、勤務20年を経て日本オラクルでERPコンサルタントを5年担当。その後ベリングポイント、NTTデータ経営研究所のコンサルタントや、タタコンサルタンシーサービシズジャパンの人事総務部長を経て現職。

資格・講師
  • 情報処理技術者システムアナリスト ITコーディネータ 早稲田大学 大学院会計研究科 非常勤講師(2009年度~)『人的資源管理』担当
実績
  • ERP人事モジュルー導入プロジェクト(オラクルEBS、SAP等)多数 霞が関業務・システムの最適化計画コンサルティング 公的企業人事情報システムコンサルティング 大手企業企業合併に先行する持株会社化プロジェクト 企業防災計画/BCPコンサルティング 業務効率化/BPO化コンサルティング 人事情報システム導入コンサルティング