コラム

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「タレントマネジメント」 その5

[ 掲載日 ]2019/10/18

[ 掲載日 ]2019/10/18

  • これまでの「職能資格等級制度」では限界があるとしたら、人材育成をベースにした人事管理はどういう評価軸を作ればよいのでしょうか。
  • 「ジョブベース」という言葉があります。これは「職務」、つまり仕事をを基準とした人材の評価軸であり処遇軸です。 この職務には、これまでの「管理職」のメインの仕事であった「マネジメント」という「ジョブ」も含まれます。 しかし、従来の一般的な管理職のイメージではなく、管理専門のマネジメントを職務とした専門職です。 設計や開発と同じく、人材を含めた会社の資源を管理する専門職であり、決してプレイングマネジャーではありません。 まして「なんちゃって管理職」でもありません。また、論功表彰の結果になる職務ポジションでもありません。
  • この「ジョブベース」の人事管理を行う最大の難関は、仕事の分類や定義、能力構成、評価軸を作らなければならない点にありません。 これまでの、ボヤとした会社全体の人材像だけで運用することできないのです。 さらに面倒なのは、人事部だけで作成することも叶わないので、 現場と呼ばれる職務遂行部門で作成される必要があります。
  • 人材を育成することに熱心な企業は、各部門で配置や異動してきた人材をどう育てていこうかと、さまざまな取り組みをしています。 こうした現場で人材を育成している人々の不満は、人事部が主導する、我が社のあるべき人材や中堅社員、 管理職候補といった全社教育や研修は理解できるものの、それだけではダメだという意識です。
  • 管理職を育てる選抜や研修をないがしろにするつもりは毛頭ありませんが、人事部の関与できない「ジョブベース」の人材を定義して環境を作っていく、 というのが、タレントマネジメント」の要諦です。当たり前のことですが、タレントマネジメントシステムを導入したからといって、 明日から機能することはあり得ないのです。
  • 有能な人材や将来有望な若い人材を獲得したいならば、ジャネラリストしか作れない現在の人事制度を、再構築する必要があることを、 人事部は理解しないと始まらないということを、強く申し上げておきたいと思います。