コラム

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「タレントマネジメント」 その6

[ 掲載日 ]2019/10/28

[ 掲載日 ]2019/10/28

  • ジョブベースの人事制度を構築するには、それにあった人材モデルを作るところからスタートしなければなりません。 ただ、ジョブベースの人材モデルを作るのは、そうたやすいことではありません。 この人材モデルにはいくつかの特徴があります。
  • ひとつめは、企業が行うビジネスが必要としている業務を遂行する能力をベースに作るのですから、 業種によって必要とされる能力が異なるということです。ただ、製造業を見ると、そのバリューチェーンの中には物流もあり、 サービス業的な職種があるのも事実です。つまり、こういった職種をどうミックスして、 自社のビジネスを進めて行く人材リソースとして定義していくかがポイントなのです。
  • ふたつめは、ビジネスの環境が変化すれば、こういった構成にも強弱や廃りも出てきて、一度作ったらおしまいということにならないことです。 常に監視し、事業の現場からのシグナルや状況を応じた対応をしていく必要があります。 製造業でも、例えば工作機械でもより性能の良い製品を注視していくことや、作るものが変化すれば、 ツール類や製造ノウハウも変化していくのと同様です。人材リソースも、永遠不滅のものではないのです。
  • みっつめは、これを作り上げるためのノウハウは、間違いなくビジネスの現場にあるということ。 業務を知らないコンサルタントや街の本屋さん図書館で見つかるものではないのです。 当然、コンサルタントや人事部も、お手伝いはできるが主役となることはできません。現場主体で地道に作っていく以外ないのです。 ただ、フレームとしての分類などは、JISや厚生労働省などに情報がありますので、参考にすると良いでしょう。 しかし殻はできても、中身はやはり自社でまとめる必要があります。企業にはその道のプロと呼ばれる人がいて、具体的な内容やレベル、 育成方法などを考えてきて、まとまっていることもあり、そういう貴重な資源を活用させてもらうことも大事です。
  • 人材モデルは、それぞれの企業が付加価値を生み出しているバリューチェーンの中で、職種ごとに分類された職務を「ジョブ」として、 その職務内容や責務、必要性などが定義されて、かつ遂行能力から定義したレベルが設定されます。 「・・・できる」という表現で記述される場合も、「○○業務遂行能力」的な表現もあります。
  • また、そのレベルを評価する基準も定義されている必要があります。公的な資格や試験制度などがあれば比較的簡単ですが、 自社独特のものや標準化されていない能力については、どう評価判断するのかを考えなければなりません。 アセスメントを設計したり、ペーパー試験や面接インタビューなども必要かもしれません。
  • 更に、「育成」という観点からは、どうしたらその能力が身につけられるのかを繙く必要があります。 偶然にできたとか、知らないうちに育成されたというのは再現性がなく、育成ができない人材モデルになってしまいます。 ここが一番難しいところで、社内のロールモデルになるような人でも、「ばてどうしたら良いのか」と途方に暮れるということもあるようです。